ー元大学病院職員である20代社会人の医療や福祉に関する備忘録ー

元大学病院職員の20代男子が医療や福祉の事を発信するブログです。

暴言や暴力が酷いと老人ホームに入れなくなる可能性があるという話

高齢者施設への入居が断られる場合

以前の記事で書いたように、健康状態や必要とされる医療処置の内容によっては施設で対応しきれない場合には入居不可となる事もあります。

多くの施設は、入居に関する条件や基準を定めており、入居前の面談や申込書類等を踏まえて入居判定委員会を実施しています。
施設が定めた条件に適合しない場合や職員内で受け入れが厳しいと判断された際には、残念ながら、入居を断られてしまうのです。

このように施設側の入居条件を満たさない場合とは別に、老人ホームへの入居が断られてしまうケースとして、「迷惑行為が酷い人・他人に暴力を振るう恐れがあること」が挙げられます。

老人ホームは集団生活であり、他のお年寄りとの共同生活を送る訳ですから、入居者や施設職員を傷付けてしまったり、迷惑な行為をしてしまうような方は施設側の判断で入居を断られることがあります。

日常生活のケアに携わる介護職者にとっても心理的負担が大きい高齢者は敬遠される傾向にあるのは、暴力や暴言等で離職してしまう職員の存在を考慮すれば致し方無い側面もあります。

認知症の進行による暴言暴力行為

暴言暴力が見られる高齢者の方も元々の性格が粗暴な方々ばかりな訳ではなく、中には認知症などが進行してしまった結果、自分の意思で理性を抑えることができず、興奮や妄想が激しくなってしまったりして、結果として暴力行為に及んでしまう方もいます。

自宅もしくは施設において認知症のBPSD(行動・心理症状)等によって、妄想性障害やうつ病希死念慮が強かったりなどの症状が精神科病院での入院治療の対象となる可能性がありますので、一度精神科のある医療機関を受診することも検討してみると良いでしょう。

中々入居受け入れしてくれる施設が見つからない場合

たとえ箇所の施設では入居を断られたとしても、別の施設では受け入れてくれることもあります。

どうしても受け入れてくれそうな施設が見つからない時は一人で闇雲に探すのではなく、老人ホーム紹介センターや地域包括支援センター、介護サービス事業者、ケアマネージャー等に相談してみることも検討しましょう。

介護保険サービスを申請する際の流れ

・家族が認知症になり、介護が必要になった
・病院を退院した後の生活を今まで通りやっていけるか不安
・加齢や病気に伴い一人でやれる事が少なくなってきた
脳梗塞を発症して手脚が麻痺状態となって日常生活が立ち行かなくなった
・医療や介護の関係者から介護保険サービスの利用を勧められた

こういった状況にある方向けに、介護保険サービスの利用の流れのついて解説していきます。

介護保険を活用してサービスを利用する時の手続き

介護保険を活用してサービスを利用するためには、市区町村に申請し、認定を受ける必要があります。この認定のことを『要介護認定』といいます。

要介護認定の申請手続きの概要は次の通りです。

○申請窓口:市区町村の介護保険担当窓口
○申請者:本人
本人が入院している場合など、本人が申請できないときは、家族が代行して申請できます。
また、家族の手を借りる事が難しい場合などは、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所の職員に申請を代行してもらう事もできます。
○持参する物:
介護保険被保険者証
✳︎本人が、40歳以上から64歳以下の場合は、健康保険被保険者証
印鑑
介護保険要介護(要支援)認定申請書
(市区町村の窓口やwebサイトから入手可能)
✳︎申請書類には、主治医の氏名、医療機関名、所在地、電話番号を記入する欄があるので、予め確認しておきましょう。
✳︎主治医がいない場合等は、市町村長が指定する医師又は市町村の職員である医師が意見書を書いてくれる。

介護保険の申請後には2つの認定調査が行われる

介護認定を申請した後には、要介護度を判定する為の調査が行われます。

1つ目は、市区町村の職員による「訪問調査」があります。基本的には自宅へ訪問する形になりますが、入院中の場合は入院先の病院を訪問してもらうこともできます。訪問調査では、ご家族の方に立ち会いをして頂くこともできますので、付き添いの方からもご本人の現状をお伝えすると良いでしょう。

2つ目の調査として、市区町村から主治医の方に「主治医意見書」の作成依頼が入ります。

要介護認定は、訪問調査の結果と主治医意見書の2つの調査を併せて介護認定審査会で検討し、要介護度が決定されます。

大体、1ヵ月ほどでご自宅に通知書が届き、要介護度というものが出ます。

介護認定の結果
要介護度が決定されると、要介護1~5、要支援1・2、非該当(自立)のいずれかに認定されます。要支援1・2に認定されると、「介護予防サービス」が利用できます。要介護認定1~5に認定されると、「介護保険サービス」が利用できるようになります。それぞれの介護度に応じて利用できるサービスの量と種類が変わってきます。要介護度は、要支援1・2が一部介助が必要な方で、要介護の1・2…5となるにつれて必要な介護が多いと判断されます。認定の結果、非該当で「自立」と判定された場合は介護保険を利用出来ませんが、自治体が実施している総合事業等の他のサービスが使える可能性がある為、市区町村で詳細を聞いてみましょう。

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サービス利用の開始までの流れ

認定結果は、申請から原則として30日以内に通知されます。介護認定が下りた後には、介護サービスを状況に合わせて、いつ、どれくらい利用するかを記した計画であるケアプランを作成し、ケアプランに基づいてサービスを導入します。ケアプランは、本人や家族で作成することもできますが、要支援1、2の方であれば地域包括支援センター、要介護1~5であれば居宅介護支援事業所のケアマネージャー(介護支援専門員)という介護サービス全体のコーディネートをしてくれる専門職に依頼するケースが多いです。

地域の居宅介護支援事業者の一覧は市区町村の介護保険担当窓口等で確認できるほか、インターネットのサイトでも調べることができます(下記参照)。

https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jpwww.kaigokensaku.mhlw.go.jp

緊急を要する場合には、介護認定結果が下りる前に、前倒しでサービスを受ける事もできます。この場合、サービスの費用の全額を一旦自費で支払い、介護認定結果が出た後に領収書を市区町村に持参して、介護保険給付分の払い戻しを受ける手続きを行う形になります。

介護保険の利用

先に述べたように、サービスの利用に際しては、主に居宅介護支援事業者に所属するケアマネジャー(介護支援専門員)が状況に合った利用計画に沿ってサービスを受ける形になります。

介護保険を活用すると、ホームヘルパーによる食事、入浴、排泄等の訪問介護をはじめ、デイサービス等の通所サービスを利用したり、介護老人保健施設等での入所サービス、住宅改修や福祉用具レンタルなど様々な介護サービスを受けることができます。これらのサービスの自己負担は、総費用の1割(所得が高い層は2・3割)が原則です。施設型サービスでは、1割(2・3割)の自己負担のほか、食費や居住費の負担が別途必要になります。

介護保険を利用した在宅での療養生活に関して、具体的な希望や気になることがあれば、ケアマネジャーに相談してみましょう。
また、介護保険に関する詳しい情報については市区町村の介護保険担当課や地域包括支援センターに相談してみるとよいでしょう。

介護保険は支給限度額までは1-3割負担

介護保険では。要介護度や要支援度によって利用限度額が決まっています。介護(予防)サービスの単価は、サービスの種類や時間によって異なり、1ヵ月ごとの利用合計を区分支給限度額の範囲内で収まるように調整します。なお、限度額を超えた部分は、10割負担となります。

有効期間

新規認定の場合の有効期間は、原則として6か月(実際は3〜12ヶ月の中で決められる)であり、有効期間は申請日に遡って適応されます。

障害福祉サービスと介護保険の関係について

原則は、介護保険が優先されますが、介護保険サービスのみでは必要量が確保できないと判断される場合、一定の要件を満たせば、障害福祉サービス(居宅介護)の上乗せ支給が認められます。

病院にイケメン医師は本当に存在するのか

当ブログは、医療関連の社会制度を紹介することがメインでしたが、広く医療業界に関する情報も発信していきたいと考えており、一般読者の方にも興味を持って頂けるような記事も少しずつ書いていきたいと思います。

さて、今回は「病院にイケメン医師は本当に存在するのか」というテーマについて医療機関に勤めていた経験を踏まえて、私見を述べていきます。


医療ドラマで登場するイケメン医師達

ドラマや映画の世界の医師役の方々の中には、とてもカッコ良くてスタイル抜群なドクターが登場します。

コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」で藍沢耕作役を演じた山下智久さん

「恋は続くよどこまでも」で天堂担役を演じた佐藤健さん

果たして、実際にこんなイケメン医師が現実に存在するのか疑問に感じている方々もいらっしゃると思います。

イケメン医師は本当に実在するのか

結論から申し上げると、イケメン医師は実在はするが、それは全体のほんの一部で大多数の医師はそれほどカッコいい訳ではないのが現実だと思います。

たしかに世の中に実在するイケメン医師について紹介されている特集記事などもあります。
https://マッチングアプリの教科書.jp/イケメンの医者特集/xn--u9j9erbzdj7jvb5f9c1565epzdjv5e.jp

ですが、私自身が病院で勤務していた経験から申し上げると、“イケメンの医者ってあんまり居ないかな?”というのが実際の感想です。
40-50代の貫禄あるおじさん医師ばかりが多数を占める中で稀に若いイケメン医師も存在するって感じですかね。
ドラマの医者はあくまで俳優さんが「医師役を演じている」だけであって、医師免許を持っている本物のドクターではありませんから、ドラマと現実は違います。

Twitterでのリサーチ結果

私がTwitterでリサーチをした所、男性医師についてはやはり若い爽やかイケメン医師というのは稀少な現実が窺われます。

https://twitter.com/biqtmryz9ir77yo/status/1227262538569486338?s=21

https://twitter.com/angelposthuman/status/1207290431353999361?s=21

ただ、容姿に関係無く、患者さんやご家族だけでなく、看護師や他のスタッフに対しても基本的に丁寧な対応をしている先生は好感を持てますね。
白衣効果🥼によって実際より割増しでカッコ良く見える医者もいます。

イケメン医師が現実に少ない理由

なぜドラマのようなイケメン医師が少ないのか?という疑問について私なりに考えた仮説を幾つか提示してみます。

医者になる為には何年も勉強に時間を割かなければならない

医者になる為には、医学部に入学し、実習やテスト等の課題を乗り越え、医師国家試験に合格しなければなりません。
多くの医学生や医師達は偏差値や試験成績といった「勉強が出来るか否か」を重視する環境で生きてきており、余程美意識が高くなければ、美容整形外科といった一部の診療科を除くと、あまり見た目やファッションを洗練させようと心掛けている人は少ないような気がします。
(もっともこれは医師だからという訳ではなく世の中の男性全体に言えることかもしれませんが)

医学知識や診療能力を高める事に一生懸命な人が多い

俳優や芸能人、ファッションモデルなどのように容姿の良さが職業的価値に結び付く職種とは異なり、医師はあくまでも「病気を治療する」事が本来の仕事です。
いくら顔がカッコ良かったとしても、臨床能力の低い医師に大切な健康や命に関わる事柄を委ねられるでしょうか。
脱毛やスキンケアなどの美容行動に励んでいるより、医学知識を増やしたり、手技向上の為に研鑽している医師の方が圧倒的に多いと思います。
見た目に気を遣っている方だと確かに印象は良いですが、それだけでは医師として務まらないという事ですね。

年齢比率的におじさん世代の医師が多い

医学部は6年間あるので実際に研修医として医療現場に立つスタートは24-25歳以降になります。さらに医学部の場合は、浪人を経験している人が多かったり、留年している(これは単に大学時代に勉強をさぼっていたというより、医学部の進級条件が厳格な点が要因だと考えられる)、国家試験に不合格になっていたり...とストレートに医者になれる人ばかりな訳ではありません。
実際に20代前半-中盤の若い年代で医師として働いている人は医師総数全体から見ると極僅かだと言えるでしょう。

医師がイケメンによるメリット

患者さん達も人間ですから、特に女性の場合はカッコいい医師が来るとテンションが上がるかもしれません。
担当の医師がイケメンだと単に気持ち的に嬉しいだけではなく、カッコいい医師の診療を受ける事で病気や怪我の症状が軽くなる(もしくは一瞬だけ消える)イケメン療法とかもあるかも知れないですね笑
裏を返せば、循環器系の医師だとイケメン過ぎると逆に心臓に悪いかもしれませんので注意が必要ですね。
まあ何の科学的根拠もない仮説なので、本当にそうなのかは定かではありませんが...

退職後も傷病手当金を受給する条件

退職後も引続き傷病手当金を受ける為には

退職などにより被保険者の資格を喪失した場合でも、以下の条件に該当する方は引き続き残りの期間については傷病手当金を受給する事ができます。

・被保険者の資格喪失をした日の前日(退職日)までに継続して1年以上の被保険者期間があること。(健康保険任意継続の被保険者期間を除く)
資格喪失時に傷病手当金を受けているか、又は受ける条件を満たしていること。
(なお、退職日に出勤した時は、継続給付を受ける条件を満たさない為に資格喪失後(退職日の翌日)以降の傷病手当金は受給できません。)

まとめると、退職の当日まで1年以上継続して被保険者の資格を有しており、傷病手当金の給付要件を満たしていれば、引き続き傷病手当金の給付を受けることができるという事です。

受給の手続き自体は基本的に在職時の場合と同様ですが、事業主の証明は不要となります。

退職後も傷病手当金を受給する上での注意点

ただし、以下の点について注意する必要があります。

在職中、退職日、退職後のいずれも疾病や負傷により業務に従事できないこと

退職日当日に出勤の事実がある場合(労務不能と認められない場合)、退職後の傷病手当金の給付は受けられなくなります。たとえ職場への挨拶目的、私物整理、会社関係者との面談だけであっても、退職日は出勤扱いにしないよう注意しましょう。
また、退職後は在職中とは異なり支給再開がない為、一日でも働くと傷病手当金が打ち切りとなります。

日本外科学会の公式PVについて

外科学会が公表したコンセプトビデオが巷で話題になっています。

ネット上ではPVに対して賛否両論の意見が飛び交っていました。
今回のブログ記事では、外科学会のPVについて主な意見を賛成派/反対派に分けて、それぞれ紹介していきたいと思います。

togetter.com

賛成派の意見

  • スローガンも動画もカッコいい
  • 外科医に憧れた
  • 大変だけどそれ程魅力のある仕事なんだと思った

反対派の意見

  • 昭和の価値観で、時代に削ぐわない
  • 息子の誕生日にオペで呼ばれるのを美談としてるのはやばい
  • ナルシストっぽい
  • 地方の関連病院に問答無用で飛ばされるシーンや、パワハラのシーンも入れるべき
  • 現在の若手外科医及び医学生には魅力的には映らないように思う
  • 女性医師のプライベートが一切出ていないのに違和感
  • 子どもの誕生日すらも祝えないどころか、いつでも呼び出されるようでは子育ては難しい
  • 頑張る男性外科医とそれを支える(恐らく)専業主婦というような構図になっているのにもやもやする
  • 子どもの誕生日でも手術に呼び出されるのは「イマドキ」ではない

個人的な意見

年代や価値観によってもかなり意見が分かれている印象を受けましたが、僕自身の考えとしてはどちらの立場の意見も一理あると思います。
ただ、動画で映されている外科医の生活の一部が現実だったとしても、今の働き方改革や男女の子育てが謳われている世の中で“医者なら家庭を犠牲にして患者の為に働くのが当たり前”といった風潮を全面に押し出すような動画を公式プロモーションとして作成しているということは、仕事や労働への価値観の多様性に対する配慮が不足してように感じました。
医療現場では、自分のプライベートを犠牲にして働いている方々は大勢いらっしゃいますし、
そうした方々によって日本の医療が支えられているのもまた事実です。

外科離れが叫ばれる昨今、いかに若手外科医を増やしていくかと言う点でも、外科の世界における厳しい現実をきちんと知った上で、意欲と覚悟のある人を欲しているというのを暗に伝えているのかもしれません。

しかしながら、憧れや自己犠牲といった精神主義だけでは、医師数が増えないどころか、(労働時間が長期化しがちで体力的にもキツいと言われる外科系は特に)、途中で燃え尽きてしまったり、超過勤務のよる診療の質の低下を招く恐れもあります。

当たり前な事ながら、外科医療に携わる者が、過度に疲弊する事なく続けていける環境を如何にして整えていけるかが重要なのだと思います。