ー元大学病院職員である20代社会人の医療や福祉に関する備忘録ー

元大学病院職員の20代男子が医療や福祉の事を発信するブログです。

日本外科学会の公式PVについて

外科学会が公表したコンセプトビデオが巷で話題になっています。

ネット上ではPVに対して賛否両論の意見が飛び交っていました。
今回のブログ記事では、外科学会のPVについて主な意見を賛成派/反対派に分けて、それぞれ紹介していきたいと思います。

togetter.com

賛成派の意見

  • スローガンも動画もカッコいい
  • 外科医に憧れた
  • 大変だけどそれ程魅力のある仕事なんだと思った

反対派の意見

  • 昭和の価値観で、時代に削ぐわない
  • 息子の誕生日にオペで呼ばれるのを美談としてるのはやばい
  • ナルシストっぽい
  • 地方の関連病院に問答無用で飛ばされるシーンや、パワハラのシーンも入れるべき
  • 現在の若手外科医及び医学生には魅力的には映らないように思う
  • 女性医師のプライベートが一切出ていないのに違和感
  • 子どもの誕生日すらも祝えないどころか、いつでも呼び出されるようでは子育ては難しい
  • 頑張る男性外科医とそれを支える(恐らく)専業主婦というような構図になっているのにもやもやする
  • 子どもの誕生日でも手術に呼び出されるのは「イマドキ」ではない

個人的な意見

年代や価値観によってもかなり意見が分かれている印象を受けましたが、僕自身の考えとしてはどちらの立場の意見も一理あると思います。
ただ、動画で映されている外科医の生活の一部が現実だったとしても、今の働き方改革や男女の子育てが謳われている世の中で“医者なら家庭を犠牲にして患者の為に働くのが当たり前”といった風潮を全面に押し出すような動画を公式プロモーションとして作成しているということは、仕事や労働への価値観の多様性に対する配慮が不足してように感じました。
医療現場では、自分のプライベートを犠牲にして働いている方々は大勢いらっしゃいますし、
そうした方々によって日本の医療が支えられているのもまた事実です。

外科離れが叫ばれる昨今、いかに若手外科医を増やしていくかと言う点でも、外科の世界における厳しい現実をきちんと知った上で、意欲と覚悟のある人を欲しているというのを暗に伝えているのかもしれません。

しかしながら、憧れや自己犠牲といった精神主義だけでは、医師数が増えないどころか、(労働時間が長期化しがちで体力的にもキツいと言われる外科系は特に)、途中で燃え尽きてしまったり、超過勤務のよる診療の質の低下を招く恐れもあります。

当たり前な事ながら、外科医療に携わる者が、過度に疲弊する事なく続けていける環境を如何にして整えていけるかが重要なのだと思います。