ー元大学病院職員である20代社会人の医療や福祉に関する備忘録ー

元大学病院職員の20代男子が医療や福祉の事を発信するブログです。

介護保険サービスを申請する際の流れ

・家族が認知症になり、介護が必要になった
・病院を退院した後の生活を今まで通りやっていけるか不安
・加齢や病気に伴い一人でやれる事が少なくなってきた
脳梗塞を発症して手脚が麻痺状態となって日常生活が立ち行かなくなった
・医療や介護の関係者から介護保険サービスの利用を勧められた

こういった状況にある方向けに、介護保険サービスの利用の流れのついて解説していきます。

介護保険を活用してサービスを利用する時の手続き

介護保険を活用してサービスを利用するためには、市区町村に申請し、認定を受ける必要があります。この認定のことを『要介護認定』といいます。

要介護認定の申請手続きの概要は次の通りです。

○申請窓口:市区町村の介護保険担当窓口
○申請者:本人
本人が入院している場合など、本人が申請できないときは、家族が代行して申請できます。
また、家族の手を借りる事が難しい場合などは、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所の職員に申請を代行してもらう事もできます。
○持参する物:
介護保険被保険者証
✳︎本人が、40歳以上から64歳以下の場合は、健康保険被保険者証
印鑑
介護保険要介護(要支援)認定申請書
(市区町村の窓口やwebサイトから入手可能)
✳︎申請書類には、主治医の氏名、医療機関名、所在地、電話番号を記入する欄があるので、予め確認しておきましょう。
✳︎主治医がいない場合等は、市町村長が指定する医師又は市町村の職員である医師が意見書を書いてくれる。

介護保険の申請後には2つの認定調査が行われる

介護認定を申請した後には、要介護度を判定する為の調査が行われます。

1つ目は、市区町村の職員による「訪問調査」があります。基本的には自宅へ訪問する形になりますが、入院中の場合は入院先の病院を訪問してもらうこともできます。訪問調査では、ご家族の方に立ち会いをして頂くこともできますので、付き添いの方からもご本人の現状をお伝えすると良いでしょう。

2つ目の調査として、市区町村から主治医の方に「主治医意見書」の作成依頼が入ります。

要介護認定は、訪問調査の結果と主治医意見書の2つの調査を併せて介護認定審査会で検討し、要介護度が決定されます。

大体、1ヵ月ほどでご自宅に通知書が届き、要介護度というものが出ます。

介護認定の結果
要介護度が決定されると、要介護1~5、要支援1・2、非該当(自立)のいずれかに認定されます。要支援1・2に認定されると、「介護予防サービス」が利用できます。要介護認定1~5に認定されると、「介護保険サービス」が利用できるようになります。それぞれの介護度に応じて利用できるサービスの量と種類が変わってきます。要介護度は、要支援1・2が一部介助が必要な方で、要介護の1・2…5となるにつれて必要な介護が多いと判断されます。認定の結果、非該当で「自立」と判定された場合は介護保険を利用出来ませんが、自治体が実施している総合事業等の他のサービスが使える可能性がある為、市区町村で詳細を聞いてみましょう。

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サービス利用の開始までの流れ

認定結果は、申請から原則として30日以内に通知されます。介護認定が下りた後には、介護サービスを状況に合わせて、いつ、どれくらい利用するかを記した計画であるケアプランを作成し、ケアプランに基づいてサービスを導入します。ケアプランは、本人や家族で作成することもできますが、要支援1、2の方であれば地域包括支援センター、要介護1~5であれば居宅介護支援事業所のケアマネージャー(介護支援専門員)という介護サービス全体のコーディネートをしてくれる専門職に依頼するケースが多いです。

地域の居宅介護支援事業者の一覧は市区町村の介護保険担当窓口等で確認できるほか、インターネットのサイトでも調べることができます(下記参照)。

https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jpwww.kaigokensaku.mhlw.go.jp

緊急を要する場合には、介護認定結果が下りる前に、前倒しでサービスを受ける事もできます。この場合、サービスの費用の全額を一旦自費で支払い、介護認定結果が出た後に領収書を市区町村に持参して、介護保険給付分の払い戻しを受ける手続きを行う形になります。

介護保険の利用

先に述べたように、サービスの利用に際しては、主に居宅介護支援事業者に所属するケアマネジャー(介護支援専門員)が状況に合った利用計画に沿ってサービスを受ける形になります。

介護保険を活用すると、ホームヘルパーによる食事、入浴、排泄等の訪問介護をはじめ、デイサービス等の通所サービスを利用したり、介護老人保健施設等での入所サービス、住宅改修や福祉用具レンタルなど様々な介護サービスを受けることができます。これらのサービスの自己負担は、総費用の1割(所得が高い層は2・3割)が原則です。施設型サービスでは、1割(2・3割)の自己負担のほか、食費や居住費の負担が別途必要になります。

介護保険を利用した在宅での療養生活に関して、具体的な希望や気になることがあれば、ケアマネジャーに相談してみましょう。
また、介護保険に関する詳しい情報については市区町村の介護保険担当課や地域包括支援センターに相談してみるとよいでしょう。

介護保険は支給限度額までは1-3割負担

介護保険では。要介護度や要支援度によって利用限度額が決まっています。介護(予防)サービスの単価は、サービスの種類や時間によって異なり、1ヵ月ごとの利用合計を区分支給限度額の範囲内で収まるように調整します。なお、限度額を超えた部分は、10割負担となります。

有効期間

新規認定の場合の有効期間は、原則として6か月(実際は3〜12ヶ月の中で決められる)であり、有効期間は申請日に遡って適応されます。

障害福祉サービスと介護保険の関係について

原則は、介護保険が優先されますが、介護保険サービスのみでは必要量が確保できないと判断される場合、一定の要件を満たせば、障害福祉サービス(居宅介護)の上乗せ支給が認められます。