ー元大学病院職員である20代社会人の医療や福祉に関する備忘録ー

元大学病院職員の20代男子が医療や福祉の事を発信するブログです。

大学4年生の時に書いた精神医学の自己省察について公開してみる(1)

私は大学時代に、精神医学や心理学の学問領域に大変興味を持っていて、精神保健分野のゼミにも所属していました。今回の記事は、自分の専門分野の一つである(と自負している)精神医学に関する私自身の省察・見解をまとめたものとなります。
文章中において所々稚拙な部分も見受けられるかと存じますが、最後までお読み頂けますと幸いです。

精神疾患の発症背景及びそのメカニズム

なぜ人間は精神疾患に罹患するのか、人口の約1%ー約100人に1人ーは統合失調症になると言われるこの世の中において、精神疾患を発症するまでに至るプロセスに関し、これまで多くの臨床家や研究者達が様々な仮説を立てられてきたが、以下では私自身が考えた精神障害の発症背景とそのメカニズムについて述べていく。

外部からの強いストレスが発症原因となる

先ず、精神疾患の発症に至るまでの生活歴や病気を引き起こすきっかけとなった出来事、本人のパーソナリティ(性格・価値観)は病名の種類を問わず千差万別であると思われる。例を挙げるとー家族関係・親類の不和・虐め・引きこもり・子育ての負担・不登校・失業・嗜癖・受験生活・失恋体験・親しかった人の死・仕事のストレスーなど多岐に渡る。強いストレスに晒される、或いは過度に抑圧された環境に居続けると、脳の情報処理が適切に行われなくなり、正常思考を保てるだけの余裕や平静さを失ってしまう。さらには、精神症状として、抑うつ状態、不安感、意欲や集中力の低下、妄想や思考が錯乱する観念奔逸等、身体症状として不眠、吐気、頭痛、目眩、動悸、倦怠感等といった人によって様々な症状(ある種の防衛機制と言ってもいいかもしれない)が生じる。

換言すると、元々の遺伝的素因や環境要因に加えて、ライフサイクルに応じた其々の悩みや課題等の心理社会的なストレスが重なり、本人の対処能力を超えて強い心理的負荷が掛かる事で発症するではないか、と考えた。

本人の性格や気質

上述した外的ストレスに加えて、病気を発症して精神科受診に至るまでに、生活上で何らかの上手くいかなかった個人的因子、例を挙げるとー環境の選び方、問題の対処方法、人間関係の築き方、不合理な思考、些細な事柄への敏感性、複数選択肢の検討不足、非現実的な考え方、自尊心の低さ、自己価値への根源的な不安、自責(反対に他罰)的な傾向等ーが関係している。つまり、多くの精神疾患は他者から暴力的に損害を加えられる虐待やハラスメント、ストレスフルな体験などの外的要因に加え、本人の性格特性や思考傾向などの内的要因の二つの要素が存在し、大概の場合その二つが複雑に絡み合って発症に至るのだと思われる。

これらは社会において適応的に生活している人々の間にも決して珍しくない傾向の非常に誇張された事例として捉える事もできる。
その為、精神疾患は健康的で一見社会に適応して生活している人々も条件や環境が整えば誰もがなり得る可能性があると考える。

精神疾患になりやすい性格や素因がある

強い精神的負荷を受けると全員が特定の病的な症状を呈するのか言えば、一概にそうとは言えないのが実情である。精神症状としては、抑鬱・興味及び喜びの喪失・易怒性・解離・時間感覚の欠如・被害的な信念体系の形成など様々な反応が存在する中で、各人がそれぞれの症状に適応する素地がある病気(統合失調症双極性障害鬱病等)に発症に至りやすいのではないか、と私は考えている。要するに、病気になりやすいか否かは遺伝的素因や元来の性格によって大きく規定されるという事である。

この種の議論は様々な識者や臨床家によってなされており、現代の科学的な精神医学研究の最先端と併せて今後自分の中で更なる学びを深めていきたい事柄である。