ー元大学病院職員である20代社会人の医療や福祉に関する備忘録ー

元大学病院職員の20代男子が医療や福祉の事を発信するブログです。

労災保険についての簡単な解説

今回の記事では、労働者災害補償保険(略称:労災保険)について解説していきます。

 

 

はじめに

労災保険は、労働者の方々が業務や通勤が原因で負傷した場合、病気になった場合、亡くなられた場合に、ご本人や遺族の方が受けられる保険です。業務災害・労働災害として認定された怪我や病気は、自己負担なしで医療を受けられます。その為、仕事とは無関係に発症した病気や怪我により、健康保険を使って治療を受けた場合と比べ、大きなメリットがあります。

 

主な労災保険の種類

療養(補償)給付

(1)労災病院労災保険指定医療機関においては、業務災害と認定された怪我や病気の治療は原則として無料で受けることが出来ます。その際、指定医療機関に療養の給付請求書を提出する必要があります(療養の給付)。

(2)やむを得ず指定医療機関以外で治療を受けた場合には、一旦治療に掛かった費用をご自身で負担して頂きますが、後日請求して頂くことにより、負担した費用の全額が支給されます(療養の費用の給付)。

*療養の費用を支出した日ごとに請求権が発生し、その翌月から2年(療養の給付については時効は問題となりません)

その他にも、労災保険では、働けず休業している期間中に支給される【休業補償給付】や【遺族補償給付】【障害補償給付】【介護補償給付】などがあります。

労災保険は、仕事に関係ない疾病や怪我(私傷病)を治療する際に比べて手厚くメリットが大きい制度であると言えます。

事業主が証明してくれなくても請求可能

労災の請求時には、原則として事故状況・原因等の事業主証明が必要となります。労災かどうかで企業側と意見が対立し、事業主から証明がもらえないなどやむを得ない事情がある場合には、事業主が証明してくれない旨の書類を添付し、労働基準監督署に直接書類を提出することもできます。

労災認定を請求中の医療は、当面の間、労災扱いで受けられますが、結果的に認定されなかった場合は、後から健康保険との間で費用調整が行われる形になります。

企業側の責任を問う場合

企業に安全管理上・労務管理等に問題が生じて、責任を追及した場合、民事上の損害賠償請求を行うこともできる。一般的には、企業の安全配慮義務違反を問い、債務不履行を理由に訴えるケースが多いです。

民事訴訟では、労災保険の給付範囲を超える逸失利益、慰謝料も請求する事もできます。既に労災認定を受け、労災保険で医療費や休業補償等の給付を受けていた際に労働者側が勝訴した場合は、二重給付を防ぐため民事賠償額が調整されます。