ー元大学病院職員である20代社会人の医療や福祉に関する備忘録ー

元大学病院職員の20代男子が医療や福祉の事を発信するブログです。

高額療養費制度の多数該当の扱いについて

高額療養費制度の多数該当とは

医療保険では、患者が高額療養費の要件に該当した際、常に直近の該当月数を確認した上で多数回該当が適用される条件を満たせば、通常の高額療養費制度の自己負担限度額よりも更に引き下げられた限度額を適用する取り扱いとなっています。

具体的には、診療を受けた月以前の直近12ヶ月間に、同一世帯(被保険者と被扶養者)内で高額療養費の対象となった月が3ヶ月以上あった場合は、4ヶ月目以降から自己負担限度額が以下の様に減額されます。これを高額療養費の多数該当と言います。

これは、限度額適用認定証等を使用し、高額療養費を現物給付で受けた月も回数に含まれます。
また、高額療養費の該当月は必ずしも連続している必要はなく、過去12ヶ月の中で高額療養費の自己負担上限額を超えた月が3回以上ある状態が継続していれば、それ以降も引き続いて多数該当が適用される形になります。

【例:70歳未満「区分イ」の場合】
f:id:supernova0128:20200727210607j:plain

引用元:全国健康保険協会

多数該当がリセットされる場合

多数該当は同一の医療保険者分のみでカウントされる為、加入する医療保険や保険の加入状態が変わった際は多数該当の月数が通算されません。
つまりは、国民健康保険健康保険組合から全国健康保険協会に加入した場合(あるいは全国健康保険協会から国民健康保険健康保険組合など)や加入の状態(被保険者から被扶養者、被扶養者から被保険者)の変更があった際などは、変更前の高額療養費の該当回数を継続することができませんので注意する必要があります。

受診先の医療機関が途中で変わった場合

医療機関が変わった場合であっても、多数該当の条件を満たしていれば通算されます。
しかしながら、実際に医療機関では、他の医療機関での受診状況や支払い額(高額療養費制度の自己負担上限額を超えていたのか)を把握する事はできません。
その為、直近12ヶ月の中で2つ以上の医療機関に跨って受診した場合は、多数該当として計算されない事があります。
その場合は、加入している保険者に『高額療養費』の申請をして頂く事で、実際に支払った額との差額分は後で払い戻される形になります。